ネットでの誹謗中傷を哲学的に考えてみる。

日記

こんにちは
さちです。

実は私、大学では哲学を専攻していました。
(第二専攻は体育&健康系)

「哲学科」卒業なんです。

私の好きな哲学者の一人に
ハンナ・アーレント
という、ドイツ生まれのユダヤ人女性哲学者がいます。

彼女が生きた時代は
『ホロコースト』の真っ最中、そしてホロコーストとナチズムの終局。

そして、エルサレムで行われた
ナチスの戦犯『アドルフ・アイヒマン』の裁判。
かなり状況は違いますが、
ネット誹謗中傷と少し似ている面がありました。

アイヒマン裁判に対するアーレントの意見がとても勉強になるので、ご紹介させていただきます。

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ハンナ・アーレントという人 学ぶこと

アーレントとアイヒマン裁判

映画「ハンナ・アーレント」オフィシャルサイト
映画「ハンナ・アーレント」オフィシャルサイト

数年前に映画にもなりました。
(この映画内には、実際のアイヒマン裁判の映像などもあり、とてもリアルです)

彼女はユダヤ人でしたが、
フランスへの亡命などに成功し、
当時のナチズムには巻き込まれることなく
生き延びました。

戦後、ホロコーストの指揮をした、
重要人物である『ナチスの高官 アイヒマン』の裁判がエルサレムで行われます。

裁判では多くのユダヤ人が証人として登場します。
その裁判で行われる証言は
アイヒマンが何をしたか」という事より、
私たちがどんなにひどい事をされて、どんなに辛かったか」という事でした。

それに対して、アイヒマンは
それ(虐殺)はただ上に命令されたので、やっただけだ
と答えたのです。

その答えに人々は『なんて極悪非道な人間だ!悪魔だ!』と糾弾します。

ですが、アーレントは
アイヒマンはただの平凡な人間で、
命令を受け、業務として遂行しただけであり、
特段私たちとは変わらない人間なのでは?
と考えたのです。

そして、このレポートを世界に発信しました。
すると、ユダヤの人々は激怒し、アーレントを激しく批判するのでした。

アーレントが言いたかったこと

アイヒマン裁判におけるアイヒマンの様子は
極悪非道な人間、サイコパスな人間、快楽殺人鬼、、
と言った様子ではなく、
むしろ落ち着いていて、真面目な印象だったそうです。

その様子を見て、
アーレントは『誰の心にも棲むことのある、凡庸な悪』こそが
ホロコーストという惨劇を生んだ…
と考えたのです。

・アイヒマンは極悪非道な人間ではなく、ただの平凡な男
・思考せず、上司の命令通り動いていた

そんなアイヒマンの行動を『陳腐な悪』とアーレントは言いました。

・アイヒマンの死刑には賛成
・裁判のやり方に問題がある
・裁判は法によって人を裁くためのもの
 ⇒アイヒマン裁判は「私刑」と化している

ユダヤの人々の気持ちも分かります。
私もひとりの人間としてその場にいたら、
感情的に激しくアイヒマンを糾弾していたでしょう。

ですが、アーレントは「それではいけない」と考えたのです。

人間として思考し、
正しい法の下、
”何が起きたのか”という事を冷静に分析せねば
根本的な解決には至らない
、としたのです。

映画「スペシャリスト 〜自覚なき殺戮者〜」公式サイト
アドルフ・アイヒマンは人間の皮をかぶった悪魔なのか?歴史に名高いアイヒマン裁判を描いた傑作ドキュメンタリー映画「スペシャリスト ~自覚なき殺戮者~」公式サイト。2017年4月29日(土・祝)新宿K's cinema ほか全国順次公開!

アイヒマン裁判も映画化されています↑

いま、日本で起きていること

先日、ある女性がネット上の誹謗中傷により
自ら命を絶ったのでは?
というニュースが流れています。

誹謗中傷が悪いという事は、もちろんです。

ですが、
本当に他人を死に追いやろうと思って、
本気で誹謗中傷していた人は、
一体何人いたでしょうか。

きっと、
単純に「あんまり好きではないから」
「テレビの内容がムカついたから」
という軽い気持ちで誹謗中傷していたのではないでしょうか。

その証拠に、
誹謗中傷していた人たちは、
次々にアカウントや当てはまるツイートを消しています。

それはきっと「マズイ事をしてしまった…」
という焦りがあるからではないでしょうか。
(反省しているかどうかは別です)

そしてその後、
誹謗中傷していたであろう人たちへの
ネット私刑が頻繁に流れてくるようになりました。

かなり影響力のありそうなアカウントで
「人ごろし!」
「許さないからな!」
「同じ目にあえばいい」
とツイートされているものが
RTで流れてくる事も多いです。

そういったツイートに焚き付けられて
誹謗中傷していた人へ
さらなる誹謗中傷をしに行く…
そんな人も多いように見受けられます。

ですが、それは本当に正義なのでしょうか。

誰の心にも棲む、凡庸な悪について

私は、
亡くなった女性を誹謗中傷していた人の心にも、
誹謗中傷していた人へ、誹謗中傷する人の心にも、
結局『凡庸な悪』が在るのだと考えます。

凡庸な悪は、思考力の欠如から生まれます。

自分の一言でどれだけ、人が傷つくか?
考えられない想像力の無さ。

さらなる誹謗中傷で、何が解決するのか?
考えられない想像力の無さ。

ネットで感情的に誹謗中傷する事は
本来の意味での裁きではありません。

日本には法律があります。
今の法律で解決できないのであれば、
法律を変える努力をしたり、
悩める人たちを救うシステムを考えましょう。

「お前は最低な人間だ!」
と糾弾する事は確かに楽ですし、
自分の気持ちをストレートに出しているだけだと思います。

ですが、それでは負の連鎖を生んでしまうのです。

陳腐な悪を抱える人は
さらに捻くれていき、雲隠れして終わりです。

第二第三の事件が、またいつか生まれます。

自分の心の中にある悪に気付き、
正規の方法で裁くこと。
ネット私刑は何の正義でもないこと。

スケールの大きさは違うかもしれませんが
アイヒマン裁判と似たものを感じました。

木村 花さんのご冥福をお祈り申し上げます。
併せて、ネット上での誹謗中傷を厳罰化する事を望みます。

あなたの声がチカラになります
SNSの匿名アカウントによる誹謗中傷を撲滅するために、プロバイダ責任制限法の改正と刑事罰化を求めます!

多くの人に、もう一度考えてもらいたいこと。

「ネットリテラシー」という面だけでなく、
自分の”内省的”な思考も含めて、
もっと本来の意味での学びを、
義務教育から徹底した方が良いと思いました。

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